日本財団 図書館


 

ここで、最後に確認しておかねばならないことは、市民活動ないしは市民の自立と、新しい政府と市民の関係についてである。多くの市民活動団体が主張するように、もはや市民活動は行政に依存するものではないという。しかし、一方で多くの団体から行政に対する資金等についての要望も出されている。この要望は正当なものであると思うが、同時に行政に依存することがあってはならないのも事実である。何よりも市民活動が、自力で活動を維持し、団体の経営のノウハウを身につけていく努力が必要であろう。
行政もまた市民活動の公共性・公益性についての重要性をふまえて、市民活動支援のための方策に取り組む責任がある。行政はそれを行うだけの資源を保有しているのであり、また、市民から税金を徴収し、それによって市民の生活の向上と安全を守る義務があるのである。もっとも身近な政府としての自治体は、その役割の一部を市民活動が担うという点に鑑み、積極的に市民活動支援を行っていかなければならないのである。

 

参考文献

 

川崎市『市民と行政の新しい関係の創造に向けて』1996年3月
川崎市『ボランティア条例の可能性』1996年3月
シーズ=市民活動を支える制度をつくる会『解説・NPO法案』1996年10月
社会保障研究所編『社会福祉における市民参加』東京大学出版会、1996年11月
新党さきがけ『さきがけの市民活動法人法』1995年10月
総合研究開発機構『市民公益活動基盤整備に関する調査研究』1994年3月
総合研究開発機構『ボランティア等の支援方策に関する総合的研究』1996年1月
総合研究開発機構『市民公益活動の促進に関する方と制度のあり方』1996年5月
地域づくりのための民間非営利活動に対する地方公共団体のかかわりの在り方に関する研究会『「地域づくりのための民間非営利活動に対する地方公共団体のかかわりの在り方に関する研究会」中間報告書』1996年3月
東京都政策報道室『行政とNPO』1996年8月
(財)日本都市センター『市民公社』1994年3月
明治学院大学立法研究会『市民活動支援法』1996年8月

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION